のんべえ、今日も巡礼の旅に出る

マイペースな巡礼日記です

六道珍皇寺

行った時期:平成25年8月上旬
天気:晴れ、最高気温36度
移動手段:鉄道
正式名:大椿山六道珍皇寺
宗派:臨済宗

 

噂に聞く六道まいりを見てみたく訪れた。
すごい人出だ。
以前にも訪れた時には、ほかに参拝する人もなく、
静まり返っていた境内が、まるで別世界である。
出店では供養に使う高野槙や鬼灯が積み上げられているが、
そういう見慣れない光景を見ていると、
見知らぬ土地へはじめて行った時のような、
掴みどころのない感覚に捉われる。
京都全体が蒸し風呂さながらのこの過酷な時期に、
迎鐘を衝くために、百メートル単位で人々が
寺の外まで行列をつくっている。
暑さや日差しなど意に介さぬ様子だ。
この行事にかける京都人の情熱はただものではない。
六道まいりの発する静かな気迫に私は圧倒された。
私は京都のことをまだまだ知らない。

 

f:id:drinkingboy:20190725233237j:plain

f:id:drinkingboy:20190725233258j:plain
参道。出店が並ぶ。右は高野槙

f:id:drinkingboy:20190725233318j:plain
色鮮やかな鬼灯

f:id:drinkingboy:20190725233344j:plain
閻魔堂。行事の際は開扉される

f:id:drinkingboy:20190725233406j:plain
本堂前の石塔婆

f:id:drinkingboy:20190725233428j:plain
本堂。応対役の人の多さにも驚く

f:id:drinkingboy:20190725233449j:plain
六道まいりの主役、迎鐘

f:id:drinkingboy:20190725233511j:plain
炎天下にもかかわらず寺の外まで延々と行列が続く

元興寺

行った時期:平成25年7月下旬
天気:薄曇り
正式名:元興寺極楽坊
移動手段:鉄道

 

桔梗、波斯菊、百日紅、芙蓉といった季節の花が古寺を彩る。
秋になれば萩や彼岸花がそれはまた見事である。

 

波斯菊はハルシャギクと読む。
小さな五輪塔群の合間にわんさか咲いていた花だ。
風化の進んだ塔によく馴染んでいて情趣があった。
草木の手入れをしていらした僧侶の方に訊ねて、
その名前を教えてもらった。
ハルシャとはペルシャのことらしい。
波斯菊は中東からやってきた菊というわけだ。

 

奈良でペルシャと聞けば思い浮かぶのは正倉院の宝物である。
異国人をかたどった鉤鼻の伎楽面、幻想的な深いブルーの硝子細工。
はるか大陸の西の彼方からシルクロードを渡り、
船に揺られて運ばれてきたこれらの工芸品と一緒に、
この植物もくっついてきたのだろう。
その舶来の可憐な花を、平城の貴人たちは
たいそう気に入って愛でたことだろう。

 

などと遠く天平の情景にロマンを馳せていたのだが、どうも事実は全く違うらしい。
調べてみれば波斯菊の原産地は北アメリカであるとのこと。
しかも日本に持ち込まれたのは明治の初期であるという。
つまりペルシャシルクロードとは、何の関わり合いもないというのである。
天平のロマンなどとは見当違いもいいところではないか。
言葉のイメージだけで、私は勝手にトンチンカンな空想に耽っていたわけだ。
ただそれがゆえに、この波斯菊は妙に心に残っている花なのである。

 

f:id:drinkingboy:20190710221453j:plain
東門

f:id:drinkingboy:20190710221517j:plain
本堂

f:id:drinkingboy:20190710221554j:plain
本堂左側

f:id:drinkingboy:20190710221623j:plain
日本最古の瓦が使われている屋根。有名なアングル

f:id:drinkingboy:20190710221803j:plain
巨大な蹲(つくばい)。札に「飲めます」とある。飲んでみればよかった。

f:id:drinkingboy:20190710221651j:plain
石仏群と桔梗

f:id:drinkingboy:20190710221717j:plain
五輪塔群と波斯菊

f:id:drinkingboy:20190710222030j:plain
本堂右側の百日紅

喜光寺

行った時期:平成27年7月下旬
天気:カンカン照りの猛暑
正式名:清涼山喜光寺
移動手段:鉄道

  

本堂は室町の頃の再建であるが、
どこか天平の面影を感じる。
堂々たる佇まいでありながらちっとも威圧感がない。
素朴であり優雅でもある。

 

この本堂の印象と、
喜光寺を建てた僧・行基のイメージとが重なる。
は民衆の救済に人生を捧げ、
最後には仏教界の最高位にまでのぼった偉大なるお坊さんであるが、
私の中の行基さんは権威ばったところが少しもない、
どこまでも清らかで親しみやすいお人なのである。

 

境内にはたくさんの蓮の鉢が並べられ、
訪れる人を楽しませていた。
泥の中から大輪の花を咲かせる蓮もまた、
行基のイメージにぴったりである。

 

f:id:drinkingboy:20190710003050j:plain
近鉄尼ヶ辻駅から歩いて数分。心のなごむ景色。

f:id:drinkingboy:20190710003205j:plain
本堂

f:id:drinkingboy:20190710003025j:plain
初めは菅原寺といった。

f:id:drinkingboy:20190710003337j:plain
弁天堂

f:id:drinkingboy:20190710003250j:plain
弁天池の水蓮

f:id:drinkingboy:20190710003437j:plain
蓮の鉢がたくさん

f:id:drinkingboy:20190710003359j:plain
蓮と本堂

f:id:drinkingboy:20190710003229j:plain

f:id:drinkingboy:20190710003314j:plain



 

柳谷観音

行った時期:平成26年7月上旬
天気:くもり→雨
正式名:立願山楊谷寺
移動手段:鉄道、バス

 

京都・西山三山のひとつ。
最寄りのバス停からなだらかな坂を約2km登るので
それなりの運動になる。

 

境内に湧く独鈷水(おこうずい)は眼病に効くといい、
本尊も目の観音様として信仰を受ける。
明治ぐらいまでの日本は目のことで苦労した人が多かったらしい。
当時の日本を訪れた外国人などが、日本人は目病みが多いと書いている。
環境のせいなのか、遺伝的な要因もあるのか、
それに眼病といっても具体的にどういう症状だったのか、
私にはよくわからないが、
ともかく目の病は長らく日本人の国民病だった。
そういう時代背景を知ると、目の快復を願ってこの寺を訪れた昔の人の
差し迫った心情が察せられる。
考えてみれば私もかなりの近眼だし、
最近はドライアイの症状もあって目の不調とは無縁ではない。

 

楊谷寺は紫陽花の寺としても知られる。
ちょうど見頃に訪れることができた。
雨に濡れていっそう鮮やかさを増した紫陽花や草木の緑が、
疲れた現代人の目を癒してくれる。

 

f:id:drinkingboy:20190630140552j:plain
竹林の道をてくてく登る

f:id:drinkingboy:20190630140259j:plain
山門、本堂の遠景

f:id:drinkingboy:20190630140505j:plain
本堂。七夕飾りが見える

f:id:drinkingboy:20190630203050j:plain
独鈷水

f:id:drinkingboy:20190630140351j:plain
奥之院までの通路には座って紫陽花を眺めるスペースもある

f:id:drinkingboy:20190630203152j:plain
奥之院

f:id:drinkingboy:20190630202646j:plain

f:id:drinkingboy:20190630203003j:plain

f:id:drinkingboy:20190630203024j:plain

f:id:drinkingboy:20190630203114j:plain

f:id:drinkingboy:20190630203133j:plain